陶芸の森ブログ

フランス印象派の陶磁器　1866－1886　ジャポニスムの成熟」展の企画者であり、所蔵家でもあるロラン・ダルビスの講演会を開催した。ロラン・ダルビス氏は、アビランド社の創業者の末裔で、自動車会社の重役を歴任し退職した後、本格的に陶磁器研究を開始。自らのルーツを辿るように、アビランド社を中心とした19世紀の陶磁史研究者で知られている。またこれに先立ち、４月12日には、滋賀県知事を表敬訪問した。講演会では、『北斎漫画』のモチーフを器に配した食器≪ルソー≫シリーズの独特の余白を生かしたデザインについて、ヨーロッパでの伝統的な手法との違いから革命的であった点をダルビス氏独自の分析から解説した。最後には、シャルル・アビランドのコレクションで1923年にオークションに掛けられたはずの信楽焼の香炉が今でもアビランドフアミリーの手元にあることを明かした。ダルビス氏の古くからの友人である国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美氏は当時の工芸についてまた、フランス陶磁器史の研究者である福井大学の今井祐子准教授が、この印象派時代の陶磁器の素晴らしさを語った。（三浦）